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SEIKOの薄型高級機・LINERです。「ライナー」が発売されたのは1960年(昭和35年)6月です。当時の流行は大型で薄い腕時計でした。大型化の成功は「クラウン」で実証されていますので、「ライナー」では特に薄さをセールスポイントにしています。この「ライナー」が発表される約半年前に、第二精工舎亀戸工場より超薄型腕時計ともいえる「ゴールドフェザー」が既に生産されていました。そこで諏訪精工舎としても薄型製品の対抗機種を市場に出したと思われます。
 ムーブメントは機械厚が「マーベル」の3/4に仕上がっています。亀戸の「ゴールドフェザー」は薄型に際し、全く新しいムーブメントを設計しましたが、「ライナー」では従来のムーブメントに改良を加え薄型化を実現しました。このことによって、その後の製作技術の向上が得られたとも考えられます。ムーブメントの外観は「マーベル」と大差はありませんが、細部は近代化されています。受石はダイヤフィックス、耐震装置は完成されたS-2型、角穴車には飾り溝、丸穴車のネジ頭に3本のすりわりが入れられ、逆ネジであることがわかるようにしてあります。このムーブメントには21石と232種類があります。当時の新製品紹介の資料等を見ますと、どうやら先に生産され、発売されたのが23石のようです。また、ムーブメントのバリエーションは無さそうです。薄型ムーブメントとしては耐久性もあり結構評判も良かった機械でした。
 文字板ですが、薄型を強調した製品ですので、掘り込み棒文字のものが多い傾向です。しかし、浮字や植字のものもそれなりに存在しています。高級品になりますので、品のあるすっきりとした感じ良い文字板が多いのですが、稀に少数ですが変わり文字板もあります。
 ケースですが、やはり大型で薄いのが特徴です。ケース外径で34.536㎜程度のものが多いようです。これは「クラウン」と同じような大きさですが、それよりも薄くできていますので、全体的にすっきりとした感じになっています。材質ですが、非防水ケースのものはオールステンレス、14Kの総金張り、本体金張りの裏蓋ステンレス、18K金無垢などがありました。金色裏蓋の初期のものには表面に何の表示もないですが、後に文字板同様“Seiko liner”のロゴが表示されます。
 この「ライナー」は、腕時計としてのグレードは高級品で、先の「ゴールドフェザー」と同じ程度のグレードにしないと対抗機種として意味がなくなってしまいます。薄型ムーブメントの技術はその後、自動巻に応用されることになります。自動巻ムーブメントはローターがある分、どうしても機械厚が増してしまいます。それを抑える為、この「ライナー」の技術が生かされました。
 
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